仮面ライダーは1971年に第1作が放映されてヒットを記録、以降いくつものテレビシリーズが作られました。1988年の「BLACK RX」を最後に一旦はテレビシリーズは終了しましたが、2000年に新作「仮面ライダークウガ」が放映開始。以後、2016年現在に至るまでライダーシリーズの放映は続いています。

クウガ以降の作品は平成ライダーシリーズと呼ばれていますが、なぜこれほどまで長くテレビシリーズが続いているのでしょうか?これは1年毎のシリーズそれぞれに、その作品だけの魅力が込められているためだと考えます。本記事では平成ライダーの人気の秘密について記載しておきたいと思います。

幅広い層へのアピール

最初の仮面ライダーから本記事執筆時点で既に45年が経過しており、平成最初の作品であるクウガでさえ16年が経過しています。つまり、当時小さな子供で憧れていた視聴者が大人になって親、あるいは祖父母となっているのです。この点は大きなアドバンテージと言えるでしょう。

自分が子供の頃に見ていた作品を、今度は自分の子供たちと一緒に視聴することによって親子2世代3世代に渡って楽しめるというメリットがあります。また、近年は映画が年に数本作成されるのが当たり前になっており、他にも仮面ライダーを主題においたゲームも発売されているため、そういった点からも親子の支持は大きなメリットです。

また、平成ライダーシリーズは「イケメン俳優」にも注目が集まっています。平成ライダーを演じる役者は10代後半~20代前半が多く、イケメン目当ての主婦や女性からも支持されています。こういった層へアピール出来ることも魅力の1つです。

また、本シリーズは一種「若手の登竜門」という側面もあります。これはオダギリジョーを始めライダー出身者は人気俳優として活躍しているためです。若手の俳優自身も約1年という長期に渡って同じ役を演じ続けられるという他では得難い経験を積めることからも人気があるようです。

多彩なフォームチェンジ

平成ライダーの特徴として、ごく一部を除けば主人公の変身する仮面ライダーは多彩なフォームチェンジを行うことが1つの特徴として挙げられます。基本フォームの色違い程度で外見自体にはさほど変化のないものがあれば、外見自体が大きく変更されるものも存在しており内容は様々です。作品毎で違いはありますが、主人公ライダーは(細かい部分も入れると)10パターン程度は存在しています。

メイン視聴者である子供たちへのアピール(戦闘中に様々なフォームに変更する画面映えという面と、変身アイテムの販促という側面)というのが大きいようですが、フォームチェンジすることで序盤では勝てなかった相手に対して勝利を掴むといった登場人物の成長としての面も強く出ています。

フォームチェンジ自体が物語の重要な鍵を握る作品もあり、そういった点でも物語に厚みを持たせる大きな要因といえます。また、物語中盤~終盤にかけてのいわゆる最強フォームの登場は恒例となっており、作品それぞれの特徴を備えた能力とカッコよさを持っているのが特徴です。

重厚な物語

多くの特撮作品のメイン視聴者は子供たちであり、比較的分かりやすい作品が多いですが、ライダーシリーズは大人でも十分に視聴できる作品が多い傾向にあります。特に初期のクウガ、アギトはサスペンス色も強く、子供が見るには少々怖い作風でした。

元々仮面ライダーシリーズのコンセプトは「怪奇ホラー」であり、勧善懲悪がベースでありながら重い内容の作品が多くありました。昭和のライダー達には改造人間となったことへの苦悩や葛藤が描かれており、この点もまた重い作風になった理由だと考えられます。

そしてこれは平成ライダーにおいても同様で、医療技術の進歩などの影響から「改造人間」では無くなりつつも戦うことへの苦悩、葛藤が描かれています。また、最も特徴的なのが勧善懲悪の作品が少ない、という点が挙げられます(ただし初期のクウガやアギトは比較的、勧善懲悪な作品だと言えます)。

様々な登場人物達の思惑が絡み、時には人間側に悪人がいることがあればいわゆる怪人側に悪人とは言い切れない(善人か?と問われると微妙な部分ですが)こともあるので、非常に複雑な物語が展開されています。しかし、この部分こそが年代問わず多くの視聴者を得ているポイントであると言えるでしょう。

作品毎のテーマ

平成ライダーには、シリーズ毎のテーマがそれぞれ決められています。これこそが人気を獲得している最大のポイントであると考えます。例えばクウガは「原点回帰」、フォーゼなら東日本大震災を受けて「日本を元気に」といった点です。こういった個別に設けられた点が、それぞれ受け入れられている要因です。

特に10作品目である「ディケイド」は平成ライダーシリーズの転換点と言える作品で、今でいう平成1期シリーズのラストを飾っています。「10年間の総括」及び「これからの10年」というテーマが組まれており、本作を機に新シリーズスタートが従来の2月ごろから9月ごろスタートに変更されています。こういった物語の展開だけでなく、放映そのものにも影響を与えるケースも存在します。

基本的には前作とはガラリと作風を変えてくるため、前作ファンの人達は次作の放映初期は難色を示すこともあります。ですが物語が進んでいく毎に作品のテーマがはっきりとしてきて、集大成ともいえる物語終盤は心動かされる展開が待っているので、どの作品についても一定の評価を得られているようです。

また、平成シリーズも2016年時点で16本が放映済み、現在は17本目のゴーストが放映されています。クウガ放映時から既に16年が経過しているため、同じ平成シリーズでも初期作品がリスペクトの対象となる、といった現象も発生しています。

こういった点から「原点回帰」が昭和作品ではなく平成初期作品を指すことも増えてきており、より作品毎のテーマについても幅広く取り扱われています。TVシリーズ本編が終了後もVシネマや小説で外伝作品が制作されるケースがあることからも、人気の高さを伺うことが出来ます。

まとめ

平成ライダーシリーズは話の整合性をきっちりとつけており、全体的に丁寧に物語が描かれています(演者の都合などによって急きょ、想定していた物語と変わることはあるようですが)。そういった点からも大人から子供まで視聴することが出来る点だと思います。

また、各仮面ライダーそれぞれに見せ場があり、いわゆるサブライダーであっても個性豊かに描かれています。主役ライダーとサブライダーの共闘、あるいは対立を描くことで登場人物の相関も物語全体も厚みが加わり、彼らを主役にした外伝作品が登場していることからも人気の高さが伺えます。

大人でも楽しめる反面、子供には少々難解な物語である点は存在します。しかし、その分アクションシーンは増やしており(特に平成2期以降は顕著になっています)、物語自体を追わなくても目で楽しむことが可能です。何より子供たちに物語の全容が掴めなくても、本当に伝えたい「核」の部分はしっかり伝わっているはずです。

子供たちが大人になって見返した時、当時何となく伝わった物語をしっかり理解することも思い出すことも出来るはずです。今後のシリーズにも注目していきたいと思います。